2013年6月24日月曜日

人工内耳と音楽

人工内耳の音楽の聞き取りは難しいといわれていますが、そもそも「難しい」の定義はなんだろうと思います。
そもそも音楽が聴けないのかというとそうではないと思います。
難しい≠出来ないではなく、人工内耳で音楽を聴くのは難しいけれど楽しめる曲もあるということではないかと思います。
それにとどまらず音楽の聞き取りリハビリを続けることで、楽しめる曲を増やしていくことも可能だということが分かってきました。

脳とは不思議なもので、人工内耳を装用した直後は知らない曲がただの雑音としてか聞こえませんでしたが、今ではたった22本の電極で聴いているとは思えないほど滑らかで綺麗な音色として聞こえます。
もちろんすべてではありませんが2年経った今も止まることなく聴こえる曲が広がっていると実感しています。
ただ綺麗に聞けているといっても健聴者のように音楽を理解しているというわけではありませんし、人工内耳ですから限界もあると思います。
でも人工内耳においては音楽を理解できているかではなく「音楽を楽しむ」ことができるかが重要じゃないかと思います。

「音楽を楽しむ」ためには聴ける曲にめぐり合うということが大変に重要で、一度聴き方を覚えると聴ける曲が拡大していくような気がします。
また聴けない曲であっても1度聴いてあきらめるのか、何度も聴いて理解していくかで聞き取りの差が広がっていく気もします。
聴神経の状態もありますので、一概に言えませんが小さな積み重ねがやがて芽となり茎となり彩の花を咲かせられるのかなと思います。

またつまらないひとりごとが長くなってしまいましたが、言いたいことは言わせてください(笑)

そういえば5月に日本コクレア社で人工内耳装用者によるマリンバの演奏会がありましたね。
一度聴いてみたかったです。
それとは別人が奏でる曲ですが、素晴らしい動画を見つけましたのでご紹介します。

 外部サイトへ コーヒールンバ(Coffee Rumba) - YouTube
マリンバ・デュオ
2人で奏でる見事なマリンバの演奏です。

この動画のように実際に目で見て音を確認することは音の聞き分けをする上でとても重要で、目で追って「音の高さ」「音の質感」「音の大きさ」を想像しながら音の違いを確認し、記憶するのに役に立つと思います。
例えば最初のマリンバの側面を叩く音とマリンバを叩く音の違いを確認するだけでも脳をかなり刺激していると思います。
人工内耳の場合、視覚などヒント無しには音楽の聞き取りは難しいと思います。
逆に言えばヒントがあれば音楽の聞き取りがしやすくなるということだと思います。

しかし、この曲本当にいいですね、癖になりそうです。

2013年6月17日月曜日

マップと音楽の聴き取りについて

マップにずれが出てくると言葉の聴き取りが悪くなるのは知られていますが、音楽も同様聴き取りが悪くなるようです。
脳は柔軟性があるため、ある程度は補正してくれるようですが、限度を超えると補正が効かなくなり音楽もきれいに聞こえなってしまいます。

例えば高音より低音が大きく聞こえるようなマップになると高音がつぶれてしまいますので、単調に聞こえたり、まったく別の音に聞こえてしまったりします。
音色は倍音により作られるそうですので、各電極の音量に偏りが出てくると倍音が意味を成さなくなり、本来、楽器が持つ音色が壊れてしまうってことはないんだろうかと思います。
具体的に言うと正しい倍音として聞き取れていないために音色として理解することができず、ぼわーとしたイメージで聞こえてしまっているのではないかということです(※注 音量を大きくすればきれいに聞き取れることもあります)

これは知らない曲を聴くとき顕著に現れるような気がします。
個人的な経験ですが、知っている曲であればマップにずれが出て聞こえ方が変わっても何の曲か分かりますが、知らない音楽は変に聞こえたり、印象に残らないことが多いです。
こんなときは特に伴奏が単調に聞こえるので、伴奏に気が付かないことが多いです(テレビのスピーカーで聞く時に顕著です)

実はテレビで歌番組を見るとき、伴奏が聞こえる日と聞こえない日があり、なぜだろうと思っていたのですが最近になってマップのずれが原因だと思うようになりました。
音楽を理解するためのリハビリも大事ですが、やっぱり音色を届ける元となる「マップ」がきちんとできていることが前提だと思います。

新世界(本田美奈子)

綺麗に聞こえているときは鳥肌が立つような美しい歌声に聞こえます。
マップがずれているときはやや単調に聞こえます。
(歌の好みは人それぞれですので、感じ方は異なると思います)

2013年6月10日月曜日

音の方向感、音の距離感

音の聞き分けは出来るようになってきましたが、音の方向感はやはり分かりません。
片側装用だけだと限界はあります。
片目を閉じてコップを取ってみると分かりますが、コップをうまくつかめないことがあるのと同じようなことかもしれません。


ステレオテスト(左から右にスピーカーの音量が移動します)

この動画を片耳だけで聞くと左右どちらの音から鳴っているか分かりません。
これ聞いて気がついたんですが、左と右の音が違います。右の方が暗く聞こえます。

ステレオテストの音量・周波数スペクトル
Sonic Visualiser
上段:音量(上:左側スピーカー、下:右側スピーカー)
中段:周波数スペクトル(左側スピーカー)
下段:周波数スペクトル(右側スピーカー)
スペクトルの音量を見ると左側から右側にスピーカーの音量が移動しているのがわかります。
左と右の周波数スペクトルは一見同じに見えますが、よく見ると若干違うので同じ音階でも聞こえ方が変わっているようです。
人工内耳でもこんな小さな違いが分かるんですね。ちょっと嬉しくなりました。
でも結局、左右どちらから音が鳴っているのか分からないんですけどね。
これが両耳だとどんな風に聞こえているのでしょうか?

音源の方向は分かりませんが、距離はなんとなく分かるようです。
音源から遠くなるほど音が減衰されて聞こえます。
音が暗くなる感じですね。

音で距離感は分かるのか調べていたら、素晴らしいサイトを見つけました。

 外部サイトへ 音による空間知覚について(メモ)
左右方向の知覚
前後・上下方向の知覚
距離の知覚


サイトを要約すると音による空間知覚は以下の情報に基づいて行われているようです。
左右方向の知覚両耳間時間差、両耳間音圧差
前後・上下方向の知覚周波数スペクトル(音色)
距離の知覚周波数スペクトル(音色)

左右方向の知覚は両耳の情報が必要ですので無理ですが、前後・上下方向の知覚や距離の知覚は音色の違いで分かるようです。
人工内耳とはいえ難聴者と変わりないので、健聴者並みとはいかないのではと思います。

前後方向の知覚については思い当たるところがあって、会社でも電話の着信音や会話が前なのか後なのかなんとなく分かっている気がしていたのですが、そうした背景もあったようです。
もう1つ、前と後で違って聞こえる理由として人工内耳は前と後で音を拾う音の範囲を調整している可能性もあると思います。

前後の音の方向感、距離感が分かるだけでも音に立体感が出てくるような気がします。
でも左右はやっぱり分かりませんね。
例えば携帯電話を探すときは着信音が手がかりだと苦労するかもしれません。
両耳装用すると分かるようになるのかなと思った次第でした。

2013年6月2日日曜日

駅のアナウンス

街の玄関でもある駅は列車の走行音、チャイムやアナウンス、、足音、話し声などさまざまな音で溢れかえっています。人工内耳を装用した当初は音の洪水に溺れかけたものですが、今は慣れてきたのかいろんな音の聞き分けが出来るようになってきました。

音の聞き分けが出来るようになってきたといってもアナウンスの聞き取りはまだ難しいようです。
騒音の中、スピーカーから聞こえてくる音声はぼやけて不鮮明です。
騒音についてはコクレアの場合「ノイズ」または「ズーム」に切り替えることである程度抑えることが出来ます。または感度を下げるだけでも聞き取りやすくなると思います。
私も最初聞き取れませんでしたが、次第にくっきり聴こえるようになってきました。
初めて聞く駅名は聞き取れないことが多いですが、知ってる駅名なら脳が学習しているのでくっきり聞こえます。
またアナウンスは下記のような定型文が多いので、1度聞き取れたアナウンスなら次からは聞き取れることが多いです。

「まもなく○番のりばに列車がまいります。危険ですから白線の内側にお下がりください。」
※地方によりアナウンスの内容は異なります。

アナウンスが聞き取れるようになってくると以下の(ささいな)問題が解決するようになります。

次の停車駅が分からないため、車内の「電光掲示板」か「駅名標」を確認する必要がある
途中乗換えがある場合、電光掲示板まで行って目的の方面の「のりば」を確認する必要がある
各停車駅の到着時間が分からない

これらはすべて車内のアナウンスで教えてくれます。
実は20年間聴こえていなかったため、こんなアナウンスが流れていることを知りませんでした。
「次は○○、○○駅です」 と次の停車駅が分かるだけでもかなり楽になったと思います。
本を読まれる方は安心して読書できるのではないでしょうか?
騒音レベルや車掌の声色により聞き取りにくい場合もありますが、それでもある程度聞き取れるようになったことは嬉しいことだと思います。

駅名標


ただ、アナウンスが聞き取れないことが難聴者にとって不便かというとそうではなく、10年前であれば今の電光掲示板もなかったわけですから、車内でも情報を確認できる今では難聴者にも優しくなってきているのではないでしょうか?
もう少し欲を言えば遅延が発生した場合、電光掲示板に遅延の詳細を書いて欲しいと思います。