2013年5月25日土曜日

耳鳴りその後・・・

人工内耳のマッピングのため、病院に行ってきました。
結論からいえば耳鳴りは問題なさそうでした。
但し、今回はマッピングの結果が前回とかなり変わっていました。

音が普段より大きく聴こえるようになっていたので、最大音量(Cレベル)は下がっていると思っていたのですが、
最小音量(Tレベル)も下がっていました。具体的には以下のとおり変化しました。

Tレベルすべての電極が、ほぼフラットに15程度低下
Cレベル会話領域の一部(3000Hz~4000Hz)が30程度低下


マッピングって何?という方のためにマッピング解説のコンテンツを作成しましたので、以下を参照してください。

 別記事に移動 カテゴリ:マッピング
記事名「マッピングの流れ」


さらに今回は先生にお願いしてCレベルを全体的に15程度下げてもらいました。
聴こえが物足りなくなりますが、しばらくは耳を休ませてあげようと思います。

ボリュームの調整はCレベルを上下させる仕組みになっていますが、
ボリュームが最大のときは測定したCレベルで聴いています。
ではボリューム0はどうなっているかというと、Cレベルから20%下げて聴いているそうです。

ボリューム調整範囲のイメージは以下のとおりです(電極6の場合)

マッピングソフト Custom Sound


フリーダムの場合ボリュームは最大9
Nucleus5(N5)の場合、ボリュームは最大10


ボリュームを0にしても極端に音が小さくならないのはこうした仕組みがあるからですね。

私の場合はマップが変化しやすいタイプかもしれません。
ST曰く 、女性はマップが変化しやすいそうです。
・・・ちなみに私は一応男性です。

マップに変化があったのは仕事から解放されて精神的にリラックスしたことも影響しているのかもしれません。
タイミング的にちょうどGWに入った頃ということもあると思います。
耳鳴りについては残念ながらはっきり分からないようです。
幸い、耳鳴りの方は気にらない程度まで収まってきました。もう大丈夫でしょう。

そういえばマッピング終了後に外に出るとひさびさに小鳥の鳴き声が聴こえてきました。
調整するまでずっと音量を抑えて聴いていたので、あちこち聴こえてくる音が新鮮な感じがしました。
音があるって本当に素晴らしい。

マッピングの流れ

マッピングは人工内耳の聴こえを調整します。
調整が嫌いな人は面倒ですが、好きな人はワクワクしますね(笑)

マッピングのお世話になるのは主に以下3つの理由が多いようです。

1.定期調整(3ヶ月または半年に1回)
2.聴こえ方が変わったとき
3.聴こえのステップアップ(刺激レート/マキシマ等を変更)

聴こえが安定して来ている人は1の定期調整をされている方が多いと思います。
日常不便を感じていなくても、電極の状態は日々変わっているので、定期調整をしたほうがよいようです。
よく聴こえていると自分では思っていても小さい音が聞き取りにくくなっていたりと案外ずれてきているものです。
電極の状態を調べることは可能ですので、何か異変を感じたらチェックしてもらったほうがよいと思います。

音の調整方法は人工内耳のメーカーにより異なりますが、よく似たものだと思います。
コクレアの場合は下記の「Custom Sound」というソフトを使用して調整します。

マッピングソフト Custom Sound
海外サイトより転載
:Cレベル(最大快適閾値)
:Tレベル(最小可聴閾値)

調整は簡単で、聴こえ始め(Tレベル)と快適な大きさ(Cレベル)の2つを調整するだけです。
これを電極の数だけ調整します。コクレアの場合は電極が22個あります。

図の上部の数字を見てもらえれば分かりますが、電極22~1番の調整を行います。
一番左の22番が最も低い音で、右に行くほど音が高くなります。
図の左の数字は電流量で、数字が大きくなるほど大きく聴こえます。
つまり、マッピングは電極ごとに自分に合った音量を調整するということですね。
あくまで音量だけの調整になりますが、たかが音量と侮ってはいけません。
正しいマッピングが出来ているかどうかで言葉の聴き取りだけでなく、音の奥行き感や音色の豊かさが関わってきますので、奥が深いです。

TレベルやCレベルの調整方法については感覚に依存するところが大きいのですが、以下のサイトを参考に調整しています。

 外部サイトへ 人工内耳リハビリテーション(成人)
虎ノ門病院
講師:氏田 直子先生


ちなみに私の場合は以下の基準でTレベルやCレベルを決めています。

Tレベル指を音にあわせて動かし、それが検査音と同じリズムになっているかを先生に確認してもらう
Cレベル不快でない最大の大きさ。但し、検査音に振動を感じ始めたら、数段階下げてもらう

検査音は「ピー、ピー、ピー」と鳴っています。

ただ、これを22回繰り返すと時間があまりにもかかってしまいます。
実際には電極を5個ほどピックアップしたものを細かく調整し、残りの電極は調整した結果を元に自動で割り当てています。
最終的にはすべての電極の音量を確認していきますので、自動で割り当てられた電極に対しても確認と調整ができます。
慣れてくると大体30分で完了します。

あとは利用シーンに合わせて、プログラムを先生に作成してもらいます。
コクレアの場合は利用環境に合わせて以下のプログラムが選択可能です。

エブリディ日常生活用、普段はこれを使用
ノイズ背景雑音下での聴き取りが向上する
フォーカス目の前にいる人の話しが聴き取りしやすくなる
ミュージック音楽が聴き取りやすくなる


プログラムは最大4つ登録可能ですので、私は普段以下の内容で登録してもらっています。

プログラム1エブリディ
プログラム2ノイズ
プログラム3ミュージック
プログラム4前回のプログラム(エブリディ)


最終的にマッピングソフトで登録した内容を体外装置のスピーチプロセッサに書き込みます。
これでマッピングが完了します。
以上で、お疲れさまでした。

実際にはもっと細かい調整が可能ですので、STと相談の上、調整します。

2013年5月20日月曜日

再び耳鳴りが・・・

今、感度0、ボリューム0で聴いています。

感度(0~20)とはマイクの音を拾う量で、感度が大きいほど周りの音をたくさん拾います。
ボリューム(0~9または10)はマイクの音量で、ボリュームが大きいほど音が大きく聴こえます。

感度もボリュームも0だとさすがに音が小さいです。
普段は感度12ボリューム9で聴いているのですが、これをあえて0にしているのは耳鳴りがするようになったためです。
耳鳴りは補聴器時代もありましたが、人工内耳の手術をしてからおさまっていました。
人工内耳を装用してからの耳鳴りは初めてなので、びっくりしています。

耳鳴りがするようになったのはGWの真っ只中。
そのとき音楽を聴いていたのですが、ふと人工内耳を装用したまま寝てしまい、
それから「ジー」と低音の耳鳴りがするようになってしまいました。

原因はスピーカーの音量が結構大きかったか、マッピングが合わなくなったかあるいはその両方ではないかと思います。
2週間経った今では比較的ましになったと思いますが、耳鳴りはまだ消えていません。
ただ、よく言われているように人工内耳を装用している間はあまり耳鳴りがしないのが幸いです。

人工内耳を外すと「ジー」という耳鳴りがしますが、同時に耳鳴りに合わせた音楽が脳内で流れてきます。
不思議なもので、脳は耳鳴りと仲良く付き合っているようです。

感度0だとエアコンなどの比較的小さな環境音はほとんど拾わなくなるので、本当に静かです。
でも人の声は割と聴こえますので、声域はあまり音量を絞らないようになっているのかもしれませんね。
その状態でボリューム0にしてしまうとさすがに人の声も小さくなってしまい、会話が聴き取りにくくなります。
それでも近くであれば何とか会話が成立していますが、やはり不便です。
今度の金曜日にマッピングに行くことになっていますので、 先生に相談する予定です。

しかし、人工内耳を装用していても耳鳴りがするようになることもあるんですね。
健聴者も耳鳴りが時々することもありますので、それと同じことかもしれません。
先日、装用者から「私も耳鳴りがするようになったけど1年間で治ったよ」という励ましの一言をいただいたので、焦らず見守っていこうと思います。

文字ばかりでは面白くないので、GWに聴いていたお気に入りの音楽の1つを。


カッチーニの「アヴェ・マリア」 耳の聴こえの状態を確認するときによく用いる動画の1つです。
吸い込まれるような美しい歌声。うるさい曲は苦手ですが、こういうクラシック系の曲なら私も聴けます。
ただ心に響かないときがあります。そういう時は体調か、マッピングが合わなくなっていると認識しています。

2013年5月12日日曜日

人工内耳体験談発表全文

耳の日の講演会で発表した体験談を公開します。

皆さんこんにちは、滝です。
コクレア社の人工内耳を装用しています。
人工内耳を装用して2年目に入り、これまでの体験から人工内耳の可能性を探りました。



体験談では自己紹介の後に「聴こえ方」「電話」「音楽」について紹介していきたいと思います。



自己紹介です。




・乳児期
母親が妊娠中に風疹に罹ったため、軽度の難聴児として生まれました。
2歳で補聴器の装用を開始し、聾学校で言葉の聴き取り練習も始まりました。

・小児期
60dBに低下したそうですが、地元の普通小学校に通い普通に会話も電話も可能でした。

・思春期
中学2年生の時に急激に聴力が低下し、会話がままならなくなりました。
この時から電話ができなくなりました。

・青年期
会社に入社してから筆談による会話に限界を覚えていました。
電話ができないのは不便です。
このころから電話ができるようになりたいと強く思うようになりました。



聴力の推移を年代別にグラフ化したものです。
人工内耳は両耳90dBから適応ラインです。



私の場合、思春期に90dBと早い段階から適応であることが分かります。
このときは1990年でしたが、まだ人工内耳は一般的ではなく保険適用になっていませんでした。



青年期に入った1994年から人工内耳が保険適用になりました。
ただ当時は人工内耳は機械的に聴こえるという声が一般的だったため、ためらいがありました。



しかし、近年は人工内耳の性能が向上したのか、自然に聴こえる人が増えていることを知り、
2010年10月に大学病院で手術に踏み切ることになりました。



次は人工内耳の聴こえ方です。



この背景が何か分かりますか?

ぼやけていますね。
これは100dBの聴こえを視覚化したものです。

100dBの聴こえはこんな風に見えていると思ってください。

100dBになると補聴器では限界があり、言葉はぼやけて聴こえています。
これだけでは何の背景か分からないですよね?
言葉の聴き取りも同じことです。

この後、人工内耳を装用してどのように聴こえが変化していったのか
この背景を使用して説明していきます。



人工内耳装用直後の聴こえのイメージです。
人工内耳を装用して初めて聴いた音は、この絵のように迷彩色のような聴こえでした。
全ての音が「チュルチュルジー」と電子音に聞こえました。
でも聴こえ方がモノクロからカラーに変わり、再び高音が聴こえるようになったのは嬉しかったですね。



人工内耳を装用して6か月目の聴こえのイメージです。景色が見えてきました。
木が立っているのがなんとなく分かりますよね?
この頃になると言葉がくっきり聴こえるようになり、いろんな音の聴き分けができるようになります。



2年経った今ではほぼ自然な聴こえです。この景色のように音の輪郭がしっかりしてきました。
音入れ当初の奇妙な聴こえはもう感じられません。
今は人工内耳の音を「耳」ではなく、「脳」で聴いていると実感しています。



健聴者の聴こえです。
先ほどの景色と違いが分かりにくいかもしれませんが健聴者はより自然に聴こえていると思います。
ただ私の場合は人工内耳の聴こえでも十分であり、すでに補聴器の聴こえを超えています。
また人工内耳の技術も進歩しており、今後、より自然な聴こえになっていくのではないでしょうか?



次は人工内耳と電話です。



人工内耳を装用して電話が出来るようになりたいと思う人は多いのではないでしょうか?
私も電話が出来るようになりたいと思った1人です。
どのようにして電話が出来るようになったのか、今はどのように電話を活用しているのか紹介していきます。

・最初
音入れして間もないころに電話に挑戦しましたが、言葉がほとんど聞き取れませんでした。
やはり電話は難しいと思ました。

・6か月目
ところがオーディオ接続ケーブルを携帯電話に接続してみると言葉が聴き取れました。
電話が出来たことがとても嬉しかったですね。この日から電話の生活が始まりました。

・2年目
今では日常でも仕事でも支障のない範囲で電話を活用しています。
初対面の人だと聴き取りが落ちますが、何度か話しているとだんだん聴き取れるようになります。

私は聴力を喪失してから再び電話をすることはないだろうと思っていました。
しかし、今、こうして電話を手に会話をしています。
人工内耳は暗闇の世界に一片の光を灯してくれました。



先ほど触れたオーディオ接続ケーブルは、iPodやウォークマン、スマホなどと
人工内耳を接続するためのケーブルです。

・使用感
使ってみるとびっくり、雑音のない非常にクリアな聴こえが得られます。

・報告
最近、Nucleus5を装用したという方にケーブルを勧めたところ、
電話ができるようになったという嬉しい報告を頂きました。



次は人工内耳と音楽です。



人工内耳で音楽がどの程度聴けるのか関心がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ここでは私がどのようにして音楽が聴こえるようになったのか紹介していきたいと思います。

・最初
私が最初に新しい音楽を聴いたときは、オルゴールが壊れたように聴こえました。
時計のメロディなど身近なところから音楽が流れていることさえ気が付きませんでした。
これは多くの装用者が通る道かもしれません。

・6か月目
昔聴いた音楽は理解しやすいようで、この頃になると比較的楽しめるようになって来ました。
特に思い出のある曲「翼をください」が昔のまま聴こえたときは感動で涙が止まりませんでした。
最近は私と同じような経験をされる方が増えているそうです。
ただ、新しい音楽はなかなか覚えられませんでした。
歌声は歪み、メロディが雑音に聴こえます。やはり新しい音楽は難しいと思いました。

・2年目
新しい音楽もだんだん理解できるようになって来ました。
今では初めて聴く曲でも歌声やメロディがきれいに聴こえるようになってきています。
ただ、歌詞の聴き取りは1回では難しいようです。何度も聴いて理解する必要があります。

最近では今は亡き本田美奈子さんの曲や地元出身であるアンジェラ・アキさんの曲を楽しんでいます。
今流行のAKB48も?
人工内耳は私に再び音楽の感動を与えてくれました。

音楽は最高のエンターテイメントだと思います。
音楽の聴き取りは多くの困難が伴いますが、人工内耳でも音楽を楽しめる可能性があります。



音楽の聴き取りは個人差がありますが、工夫次第で今より聴き取りを良くすることは可能だと思います。
ここではどう音楽と付き合っていくかを説明します。


音楽の聴き取りは強く印象に残っている曲を聴くことから始めるのが一番早いかもしれません。子供の頃に覚えた曲は体で覚えているので理解しやすいようです。
私も子供のころに聴いた曲を繰り返し聴くことで聴ける曲が広がりました。


テレビなどのスピーカーは音が拡散するため音楽が聴き取りにくいかもしれません。
最初はヘッドホンかオーディオ接続ケーブルを通して聴くのがお勧めです。
オーディオ接続ケーブルにすることで音質が飛躍的に向上したという方もいます。


歌詞は1度では聴き取れません。
1回か2回で諦めず、何度もしつこく聴くと聴き取れるようになることがあります。



人工内耳は音の高さの知覚が難しいといわれています。
私も最初は「ド」と「ミ」にあたる2音の高さが分かりませんでしたが、
今では半音の区別ができるようになってきています。
これまでの音楽の聴き取りやコクレア社のリハビリソフトを活用した成果だと思います。


このように工夫やリハビリをすれば聴こえは成長します。



私は人工内耳で会話を取り戻せました。
今では電話や音楽も取り戻しつつあり、生活の質(QOL)が飛躍的に向上しました。
人工内耳は私に想像以上の聴こえをもたらしてくれました。
このような素晴らしい聴こえを与えてくれたことに感謝しています。
このように人工内耳の技術は飛躍的に進歩しています。

ご清聴ありがとうございました。

2013年3月3日 耳の日の講演会にて発表

2013年5月5日日曜日

人工内耳について

2010年10月に人工内耳を装用して2年目の滝です。

時が経つにつれ人工内耳の聴こえを冷静に見つめられるようになってきました。
以前ほど聴こえの目覚しい成長はありませんが、少しずつ確実に成長しているようです。


樹木(星野伸氏撮影)


少し前の話になりますが、2013年3月に2回目の人工内耳装用体験談発表をしてきました。
1回目は仕事をテーマにしたものですが、2回目は装用初期と6ヶ月目、2年目それぞれ3つの聴こえの比較をパワーポイントを使って説明し、ここまで聴こえるようになったことを説明しました。
もう1人発表された方がおり、こちらはエスプリから最新のNucleus5(N5)に切り替えた際の聴こえの変化を分かりやすく説明されていました。
この方とは事前に話す内容の情報を交換していたので、内容がかぶらずホッとしています。

聴こえの成長を体験談で発表しましたが、最近装用された方の聴き取りをみると私よりいいのではないかと思えることがしばしばあります。
人工内耳の進化ってすごいなと思います。
再生医療が現実的でない今、人工内耳を正しく知ってもらった上で、普及してほしいと願っています。
人工内耳は現時点でコミュニケーションを取り戻す最短の道のりだと思いますので。

ここでは人工内耳を中心につぶやいていきたいと思いますので、よろしくお願いします。