2013年7月22日月曜日

要約筆記者養成について

この3日間京都に行っていました。
といっても遊びに行っていたわけではなく、利用者(難聴者)が要約筆記者を養成するための研修に参加していました。
今日帰宅したところで疲れてしまったので、詳しいことは書きませんが要約筆記者を育てるのは要約筆記の先生だけではなく利用者自身も参加して育てていく必要があるのですね。
要約筆記者は要約した内容が利用者にきちんと伝わっているのか客観的に判断できませんから「こうしたほうがいいよ」と教えてあげるということです。
例えば利用者が要約筆記者に黙っている、あるいは出来ていること出来ていないことを適切に伝えられなくては要約筆記者に対するフィードバックが出来ません。
適切なフィードバックがあってこそ要約筆記者が何をすればいいか分かるようになり、利用者によりよい情報の伝達ができるようになるということだと思います。
踏み込んで言えばフィードバックがなければ今までと変わらないということになります。
言い方がちょっと異なりますが、今回の研修ではそのフィードバックをするため方法(技術)を学んできました。
あと、難聴者団体や要約筆記の歴史に関する講座もありましたが、ちょっと眠くなりました。すみません。
一応、覚えておかないといけないことですね。

この研修は計3クールあり今日1クールが終わった後なので、まだ2クール残っています。
しかし、この3日間きつかったなあ。

2013年7月15日月曜日

カバー曲

流行の曲が聴きたくても歌手によっては聴き取りが難しい場合があると思います。
そういう時はカバー曲から聴いています。
聴けるカバー曲を探してから、ご本人が歌唱されている曲に挑戦するといいかもしれませんね。
カバー曲といえば最近素晴らしい曲を見つけました。
その名も「君をのせて」。宮崎駿監督の作品「天空の城ラピュタ」に登場する曲です。


「天空の城ラピュタ」 君をのせて/井上あずみ

井上あずみさんご本人が歌唱


カバー曲/ナタリのジブリ「天空の城ラピュタ」

知っている人が見ると微笑ましくなります。

どちらが聴きやすいかは人によると思いますが、私の場合はカバー曲が聴きやすかったです。
井上あずみさんが歌う「君をのせて」は装用して1年も経たないときに覚えたので苦労しましたが、カバー曲は初耳からきれいに聴き取れました。
もし、最初にカバー曲を聴いてから井上あずみさんの曲を聴いていれば苦労しなかったかもしれません。
井上あずみさんはやさしい歌声、カバー曲を歌っているナタリさんは澄んだ歌声に感じられます。
ちなみにナタリさんはあの「のど自慢」に出られたほどの歌唱力をお持ちで、とても素晴らしい歌声です。

2013年7月8日月曜日

コーヒーブレイク(1)

ここのところ仕事が多忙のためブログに専念できませんが、最近は新型サウンドプロセッサのN6が気になっています。
スマートサウンドは最新版が適応になるそうですが、これがどの程度聴こえの向上に結びつくか不明です。
デザインについてはN5が好みという方もいるでしょうね。

人工内耳 - コクレア社新型スピーチプロセッサ(Nucleus6)
コクレア新型サウンドプロセッサNucleus6

日本は認可が遅いので使用できるのはまだまだ先の話になりますが、今の最新サウンドプロセッサN5が使用できないN22ユーザはN6が利用できるようになるのか気になるところです。

2013年7月1日月曜日

歌詞の聴き取り

人工内耳はそもそも言葉を聴き取るために作られたものですが、大変有効に機能していると思います。
言葉が聴き取れるようになるといっても話し相手には「ゆっくりはっきり」喋ってもらう必要があります。
慣れてくると普通に話してもらってもほぼ支障無しに会話できるようになりますが、本人は自覚できていない聴き取りミスや取りこぼしの可能性もありますので、基本的には「ゆっくりはっきり」喋ってもらったほうがよいようです。
上記のとおり「ゆっくりはっきり」喋ってもらう必要があるのであれば早口で喋られると困りますし、音楽で言えば歌詞の聴き取りも難しくなってきます。
ただし、それは1回目の聴き取りに対して難しいのであって、同じ内容を繰り返し聞けば早口や歌詞も次第に聴き取れるようになります。
ただ聴くにしても意識して聴かないと聴き取れないような気がします。

人工内耳で聴く歌声の聴こえ方ですが、私の場合明瞭ではなくほとんどが曖昧なものしか聞こえません。
そんな聞こえ方であっても歌詞の聴き取り方にはコツがあって練習をすれば聴き取れるようになってきます。
歌詞を聴き取ろうとしている人は歌詞を聴くためのテクニックを身につけている気がします。
あくまで私の場合ですが、以下の手順で歌詞の聴き取りを試みようとします。

1.とりあえず曲を聴き聴き取れそうか判断する
2.伴奏から歌声のみを浮き上がらせる(伴奏と歌声を分離させる)
3.曖昧に聞こえる歌声から歌詞をはっきりさせる

1でクリアすれば2のステップに入るわけですが、いきなり伴奏付きの曲に挑むのはやめたほうがよさそうです。
理想的には伴奏無しで3に挑み、慣れてきたら伴奏付きの曲に挑むのがよいようです。
伴奏がまったくない曲はあまりないのですが、以下の童謡などは聴き取りやすいと思います(あくまで主観ですが・・・)

倍賞千恵子「かあさんの歌」


倍賞千恵子「アニー・ローリー」


妙なことですが歌詞が聞き取れると歌声がはっきりする気がします。歌声の質感がアップする感じです。
歌詞が聞き取れない場合、音の高さ・音色をいろいろな角度でイメージ(想像)して擦り合わせて行きます。
一度擦り合わせに成功すると次からは不思議とそのとおりにしか聴こえません。
これはパズルみたいなもので、慣れてくるとすぐ出来るようになってきます。
音の高さは間違って覚えているかもしれませんが、早く覚えて楽しめることが最優先ですので気にしません。
また私の経験上での話ですので、他の人はまた違ったやり方で歌詞を聴き取っているかもしれません。

最初のうちは歌詞の聴き取りがなかなかうまくいかないので、しんどいと思うことがあります。
でも慣れてくるとすぐ聴き取れるようになってくるので、聴けそうな曲が見つかれば繰り返し聴くのがよいようです。
無理に1日で聴き取ろうとせず、1週間1ヶ月かけて聴き取っていきます。
聴き取れるようになってきたら徐々に難しい曲にステップアップすることを目指します。
経験上、1度曲の聴き取りに成功すると聴ける曲のレパートリーが増えていく気がします。
それが嬉しくなって、やる気につながり音楽をもっと楽しもうと思うようになります。

聴取環境ももちろん重要で、音楽はスピーカーではなくヘッドフォン、オーディオ接続ケーブル、磁気コイルなどを使用して聴くのがいいと思います。
聴こえは格段にクリアになるので、スピーカーで聞いていたのとは別物に聴こえるという人もいます。

せっかくですので、麻呂さんが紹介してくださった曲を紹介します。

倍賞千恵子「下町の太陽」

この曲を知っている人は聴きやすいと思います。倍賞さんらしく澄み切った歌声です。

2013年6月24日月曜日

人工内耳と音楽

人工内耳の音楽の聞き取りは難しいといわれていますが、そもそも「難しい」の定義はなんだろうと思います。
そもそも音楽が聴けないのかというとそうではないと思います。
難しい≠出来ないではなく、人工内耳で音楽を聴くのは難しいけれど楽しめる曲もあるということではないかと思います。
それにとどまらず音楽の聞き取りリハビリを続けることで、楽しめる曲を増やしていくことも可能だということが分かってきました。

脳とは不思議なもので、人工内耳を装用した直後は知らない曲がただの雑音としてか聞こえませんでしたが、今ではたった22本の電極で聴いているとは思えないほど滑らかで綺麗な音色として聞こえます。
もちろんすべてではありませんが2年経った今も止まることなく聴こえる曲が広がっていると実感しています。
ただ綺麗に聞けているといっても健聴者のように音楽を理解しているというわけではありませんし、人工内耳ですから限界もあると思います。
でも人工内耳においては音楽を理解できているかではなく「音楽を楽しむ」ことができるかが重要じゃないかと思います。

「音楽を楽しむ」ためには聴ける曲にめぐり合うということが大変に重要で、一度聴き方を覚えると聴ける曲が拡大していくような気がします。
また聴けない曲であっても1度聴いてあきらめるのか、何度も聴いて理解していくかで聞き取りの差が広がっていく気もします。
聴神経の状態もありますので、一概に言えませんが小さな積み重ねがやがて芽となり茎となり彩の花を咲かせられるのかなと思います。

またつまらないひとりごとが長くなってしまいましたが、言いたいことは言わせてください(笑)

そういえば5月に日本コクレア社で人工内耳装用者によるマリンバの演奏会がありましたね。
一度聴いてみたかったです。
それとは別人が奏でる曲ですが、素晴らしい動画を見つけましたのでご紹介します。

 外部サイトへ コーヒールンバ(Coffee Rumba) - YouTube
マリンバ・デュオ
2人で奏でる見事なマリンバの演奏です。

この動画のように実際に目で見て音を確認することは音の聞き分けをする上でとても重要で、目で追って「音の高さ」「音の質感」「音の大きさ」を想像しながら音の違いを確認し、記憶するのに役に立つと思います。
例えば最初のマリンバの側面を叩く音とマリンバを叩く音の違いを確認するだけでも脳をかなり刺激していると思います。
人工内耳の場合、視覚などヒント無しには音楽の聞き取りは難しいと思います。
逆に言えばヒントがあれば音楽の聞き取りがしやすくなるということだと思います。

しかし、この曲本当にいいですね、癖になりそうです。

2013年6月17日月曜日

マップと音楽の聴き取りについて

マップにずれが出てくると言葉の聴き取りが悪くなるのは知られていますが、音楽も同様聴き取りが悪くなるようです。
脳は柔軟性があるため、ある程度は補正してくれるようですが、限度を超えると補正が効かなくなり音楽もきれいに聞こえなってしまいます。

例えば高音より低音が大きく聞こえるようなマップになると高音がつぶれてしまいますので、単調に聞こえたり、まったく別の音に聞こえてしまったりします。
音色は倍音により作られるそうですので、各電極の音量に偏りが出てくると倍音が意味を成さなくなり、本来、楽器が持つ音色が壊れてしまうってことはないんだろうかと思います。
具体的に言うと正しい倍音として聞き取れていないために音色として理解することができず、ぼわーとしたイメージで聞こえてしまっているのではないかということです(※注 音量を大きくすればきれいに聞き取れることもあります)

これは知らない曲を聴くとき顕著に現れるような気がします。
個人的な経験ですが、知っている曲であればマップにずれが出て聞こえ方が変わっても何の曲か分かりますが、知らない音楽は変に聞こえたり、印象に残らないことが多いです。
こんなときは特に伴奏が単調に聞こえるので、伴奏に気が付かないことが多いです(テレビのスピーカーで聞く時に顕著です)

実はテレビで歌番組を見るとき、伴奏が聞こえる日と聞こえない日があり、なぜだろうと思っていたのですが最近になってマップのずれが原因だと思うようになりました。
音楽を理解するためのリハビリも大事ですが、やっぱり音色を届ける元となる「マップ」がきちんとできていることが前提だと思います。

新世界(本田美奈子)

綺麗に聞こえているときは鳥肌が立つような美しい歌声に聞こえます。
マップがずれているときはやや単調に聞こえます。
(歌の好みは人それぞれですので、感じ方は異なると思います)

2013年6月10日月曜日

音の方向感、音の距離感

音の聞き分けは出来るようになってきましたが、音の方向感はやはり分かりません。
片側装用だけだと限界はあります。
片目を閉じてコップを取ってみると分かりますが、コップをうまくつかめないことがあるのと同じようなことかもしれません。


ステレオテスト(左から右にスピーカーの音量が移動します)

この動画を片耳だけで聞くと左右どちらの音から鳴っているか分かりません。
これ聞いて気がついたんですが、左と右の音が違います。右の方が暗く聞こえます。

ステレオテストの音量・周波数スペクトル
Sonic Visualiser
上段:音量(上:左側スピーカー、下:右側スピーカー)
中段:周波数スペクトル(左側スピーカー)
下段:周波数スペクトル(右側スピーカー)
スペクトルの音量を見ると左側から右側にスピーカーの音量が移動しているのがわかります。
左と右の周波数スペクトルは一見同じに見えますが、よく見ると若干違うので同じ音階でも聞こえ方が変わっているようです。
人工内耳でもこんな小さな違いが分かるんですね。ちょっと嬉しくなりました。
でも結局、左右どちらから音が鳴っているのか分からないんですけどね。
これが両耳だとどんな風に聞こえているのでしょうか?

音源の方向は分かりませんが、距離はなんとなく分かるようです。
音源から遠くなるほど音が減衰されて聞こえます。
音が暗くなる感じですね。

音で距離感は分かるのか調べていたら、素晴らしいサイトを見つけました。

 外部サイトへ 音による空間知覚について(メモ)
左右方向の知覚
前後・上下方向の知覚
距離の知覚


サイトを要約すると音による空間知覚は以下の情報に基づいて行われているようです。
左右方向の知覚両耳間時間差、両耳間音圧差
前後・上下方向の知覚周波数スペクトル(音色)
距離の知覚周波数スペクトル(音色)

左右方向の知覚は両耳の情報が必要ですので無理ですが、前後・上下方向の知覚や距離の知覚は音色の違いで分かるようです。
人工内耳とはいえ難聴者と変わりないので、健聴者並みとはいかないのではと思います。

前後方向の知覚については思い当たるところがあって、会社でも電話の着信音や会話が前なのか後なのかなんとなく分かっている気がしていたのですが、そうした背景もあったようです。
もう1つ、前と後で違って聞こえる理由として人工内耳は前と後で音を拾う音の範囲を調整している可能性もあると思います。

前後の音の方向感、距離感が分かるだけでも音に立体感が出てくるような気がします。
でも左右はやっぱり分かりませんね。
例えば携帯電話を探すときは着信音が手がかりだと苦労するかもしれません。
両耳装用すると分かるようになるのかなと思った次第でした。

2013年6月2日日曜日

駅のアナウンス

街の玄関でもある駅は列車の走行音、チャイムやアナウンス、、足音、話し声などさまざまな音で溢れかえっています。人工内耳を装用した当初は音の洪水に溺れかけたものですが、今は慣れてきたのかいろんな音の聞き分けが出来るようになってきました。

音の聞き分けが出来るようになってきたといってもアナウンスの聞き取りはまだ難しいようです。
騒音の中、スピーカーから聞こえてくる音声はぼやけて不鮮明です。
騒音についてはコクレアの場合「ノイズ」または「ズーム」に切り替えることである程度抑えることが出来ます。または感度を下げるだけでも聞き取りやすくなると思います。
私も最初聞き取れませんでしたが、次第にくっきり聴こえるようになってきました。
初めて聞く駅名は聞き取れないことが多いですが、知ってる駅名なら脳が学習しているのでくっきり聞こえます。
またアナウンスは下記のような定型文が多いので、1度聞き取れたアナウンスなら次からは聞き取れることが多いです。

「まもなく○番のりばに列車がまいります。危険ですから白線の内側にお下がりください。」
※地方によりアナウンスの内容は異なります。

アナウンスが聞き取れるようになってくると以下の(ささいな)問題が解決するようになります。

次の停車駅が分からないため、車内の「電光掲示板」か「駅名標」を確認する必要がある
途中乗換えがある場合、電光掲示板まで行って目的の方面の「のりば」を確認する必要がある
各停車駅の到着時間が分からない

これらはすべて車内のアナウンスで教えてくれます。
実は20年間聴こえていなかったため、こんなアナウンスが流れていることを知りませんでした。
「次は○○、○○駅です」 と次の停車駅が分かるだけでもかなり楽になったと思います。
本を読まれる方は安心して読書できるのではないでしょうか?
騒音レベルや車掌の声色により聞き取りにくい場合もありますが、それでもある程度聞き取れるようになったことは嬉しいことだと思います。

駅名標


ただ、アナウンスが聞き取れないことが難聴者にとって不便かというとそうではなく、10年前であれば今の電光掲示板もなかったわけですから、車内でも情報を確認できる今では難聴者にも優しくなってきているのではないでしょうか?
もう少し欲を言えば遅延が発生した場合、電光掲示板に遅延の詳細を書いて欲しいと思います。

2013年5月25日土曜日

耳鳴りその後・・・

人工内耳のマッピングのため、病院に行ってきました。
結論からいえば耳鳴りは問題なさそうでした。
但し、今回はマッピングの結果が前回とかなり変わっていました。

音が普段より大きく聴こえるようになっていたので、最大音量(Cレベル)は下がっていると思っていたのですが、
最小音量(Tレベル)も下がっていました。具体的には以下のとおり変化しました。

Tレベルすべての電極が、ほぼフラットに15程度低下
Cレベル会話領域の一部(3000Hz~4000Hz)が30程度低下


マッピングって何?という方のためにマッピング解説のコンテンツを作成しましたので、以下を参照してください。

 別記事に移動 カテゴリ:マッピング
記事名「マッピングの流れ」


さらに今回は先生にお願いしてCレベルを全体的に15程度下げてもらいました。
聴こえが物足りなくなりますが、しばらくは耳を休ませてあげようと思います。

ボリュームの調整はCレベルを上下させる仕組みになっていますが、
ボリュームが最大のときは測定したCレベルで聴いています。
ではボリューム0はどうなっているかというと、Cレベルから20%下げて聴いているそうです。

ボリューム調整範囲のイメージは以下のとおりです(電極6の場合)

マッピングソフト Custom Sound


フリーダムの場合ボリュームは最大9
Nucleus5(N5)の場合、ボリュームは最大10


ボリュームを0にしても極端に音が小さくならないのはこうした仕組みがあるからですね。

私の場合はマップが変化しやすいタイプかもしれません。
ST曰く 、女性はマップが変化しやすいそうです。
・・・ちなみに私は一応男性です。

マップに変化があったのは仕事から解放されて精神的にリラックスしたことも影響しているのかもしれません。
タイミング的にちょうどGWに入った頃ということもあると思います。
耳鳴りについては残念ながらはっきり分からないようです。
幸い、耳鳴りの方は気にらない程度まで収まってきました。もう大丈夫でしょう。

そういえばマッピング終了後に外に出るとひさびさに小鳥の鳴き声が聴こえてきました。
調整するまでずっと音量を抑えて聴いていたので、あちこち聴こえてくる音が新鮮な感じがしました。
音があるって本当に素晴らしい。

マッピングの流れ

マッピングは人工内耳の聴こえを調整します。
調整が嫌いな人は面倒ですが、好きな人はワクワクしますね(笑)

マッピングのお世話になるのは主に以下3つの理由が多いようです。

1.定期調整(3ヶ月または半年に1回)
2.聴こえ方が変わったとき
3.聴こえのステップアップ(刺激レート/マキシマ等を変更)

聴こえが安定して来ている人は1の定期調整をされている方が多いと思います。
日常不便を感じていなくても、電極の状態は日々変わっているので、定期調整をしたほうがよいようです。
よく聴こえていると自分では思っていても小さい音が聞き取りにくくなっていたりと案外ずれてきているものです。
電極の状態を調べることは可能ですので、何か異変を感じたらチェックしてもらったほうがよいと思います。

音の調整方法は人工内耳のメーカーにより異なりますが、よく似たものだと思います。
コクレアの場合は下記の「Custom Sound」というソフトを使用して調整します。

マッピングソフト Custom Sound
海外サイトより転載
:Cレベル(最大快適閾値)
:Tレベル(最小可聴閾値)

調整は簡単で、聴こえ始め(Tレベル)と快適な大きさ(Cレベル)の2つを調整するだけです。
これを電極の数だけ調整します。コクレアの場合は電極が22個あります。

図の上部の数字を見てもらえれば分かりますが、電極22~1番の調整を行います。
一番左の22番が最も低い音で、右に行くほど音が高くなります。
図の左の数字は電流量で、数字が大きくなるほど大きく聴こえます。
つまり、マッピングは電極ごとに自分に合った音量を調整するということですね。
あくまで音量だけの調整になりますが、たかが音量と侮ってはいけません。
正しいマッピングが出来ているかどうかで言葉の聴き取りだけでなく、音の奥行き感や音色の豊かさが関わってきますので、奥が深いです。

TレベルやCレベルの調整方法については感覚に依存するところが大きいのですが、以下のサイトを参考に調整しています。

 外部サイトへ 人工内耳リハビリテーション(成人)
虎ノ門病院
講師:氏田 直子先生


ちなみに私の場合は以下の基準でTレベルやCレベルを決めています。

Tレベル指を音にあわせて動かし、それが検査音と同じリズムになっているかを先生に確認してもらう
Cレベル不快でない最大の大きさ。但し、検査音に振動を感じ始めたら、数段階下げてもらう

検査音は「ピー、ピー、ピー」と鳴っています。

ただ、これを22回繰り返すと時間があまりにもかかってしまいます。
実際には電極を5個ほどピックアップしたものを細かく調整し、残りの電極は調整した結果を元に自動で割り当てています。
最終的にはすべての電極の音量を確認していきますので、自動で割り当てられた電極に対しても確認と調整ができます。
慣れてくると大体30分で完了します。

あとは利用シーンに合わせて、プログラムを先生に作成してもらいます。
コクレアの場合は利用環境に合わせて以下のプログラムが選択可能です。

エブリディ日常生活用、普段はこれを使用
ノイズ背景雑音下での聴き取りが向上する
フォーカス目の前にいる人の話しが聴き取りしやすくなる
ミュージック音楽が聴き取りやすくなる


プログラムは最大4つ登録可能ですので、私は普段以下の内容で登録してもらっています。

プログラム1エブリディ
プログラム2ノイズ
プログラム3ミュージック
プログラム4前回のプログラム(エブリディ)


最終的にマッピングソフトで登録した内容を体外装置のスピーチプロセッサに書き込みます。
これでマッピングが完了します。
以上で、お疲れさまでした。

実際にはもっと細かい調整が可能ですので、STと相談の上、調整します。

2013年5月20日月曜日

再び耳鳴りが・・・

今、感度0、ボリューム0で聴いています。

感度(0~20)とはマイクの音を拾う量で、感度が大きいほど周りの音をたくさん拾います。
ボリューム(0~9または10)はマイクの音量で、ボリュームが大きいほど音が大きく聴こえます。

感度もボリュームも0だとさすがに音が小さいです。
普段は感度12ボリューム9で聴いているのですが、これをあえて0にしているのは耳鳴りがするようになったためです。
耳鳴りは補聴器時代もありましたが、人工内耳の手術をしてからおさまっていました。
人工内耳を装用してからの耳鳴りは初めてなので、びっくりしています。

耳鳴りがするようになったのはGWの真っ只中。
そのとき音楽を聴いていたのですが、ふと人工内耳を装用したまま寝てしまい、
それから「ジー」と低音の耳鳴りがするようになってしまいました。

原因はスピーカーの音量が結構大きかったか、マッピングが合わなくなったかあるいはその両方ではないかと思います。
2週間経った今では比較的ましになったと思いますが、耳鳴りはまだ消えていません。
ただ、よく言われているように人工内耳を装用している間はあまり耳鳴りがしないのが幸いです。

人工内耳を外すと「ジー」という耳鳴りがしますが、同時に耳鳴りに合わせた音楽が脳内で流れてきます。
不思議なもので、脳は耳鳴りと仲良く付き合っているようです。

感度0だとエアコンなどの比較的小さな環境音はほとんど拾わなくなるので、本当に静かです。
でも人の声は割と聴こえますので、声域はあまり音量を絞らないようになっているのかもしれませんね。
その状態でボリューム0にしてしまうとさすがに人の声も小さくなってしまい、会話が聴き取りにくくなります。
それでも近くであれば何とか会話が成立していますが、やはり不便です。
今度の金曜日にマッピングに行くことになっていますので、 先生に相談する予定です。

しかし、人工内耳を装用していても耳鳴りがするようになることもあるんですね。
健聴者も耳鳴りが時々することもありますので、それと同じことかもしれません。
先日、装用者から「私も耳鳴りがするようになったけど1年間で治ったよ」という励ましの一言をいただいたので、焦らず見守っていこうと思います。

文字ばかりでは面白くないので、GWに聴いていたお気に入りの音楽の1つを。


カッチーニの「アヴェ・マリア」 耳の聴こえの状態を確認するときによく用いる動画の1つです。
吸い込まれるような美しい歌声。うるさい曲は苦手ですが、こういうクラシック系の曲なら私も聴けます。
ただ心に響かないときがあります。そういう時は体調か、マッピングが合わなくなっていると認識しています。

2013年5月12日日曜日

人工内耳体験談発表全文

耳の日の講演会で発表した体験談を公開します。

皆さんこんにちは、滝です。
コクレア社の人工内耳を装用しています。
人工内耳を装用して2年目に入り、これまでの体験から人工内耳の可能性を探りました。



体験談では自己紹介の後に「聴こえ方」「電話」「音楽」について紹介していきたいと思います。



自己紹介です。




・乳児期
母親が妊娠中に風疹に罹ったため、軽度の難聴児として生まれました。
2歳で補聴器の装用を開始し、聾学校で言葉の聴き取り練習も始まりました。

・小児期
60dBに低下したそうですが、地元の普通小学校に通い普通に会話も電話も可能でした。

・思春期
中学2年生の時に急激に聴力が低下し、会話がままならなくなりました。
この時から電話ができなくなりました。

・青年期
会社に入社してから筆談による会話に限界を覚えていました。
電話ができないのは不便です。
このころから電話ができるようになりたいと強く思うようになりました。



聴力の推移を年代別にグラフ化したものです。
人工内耳は両耳90dBから適応ラインです。



私の場合、思春期に90dBと早い段階から適応であることが分かります。
このときは1990年でしたが、まだ人工内耳は一般的ではなく保険適用になっていませんでした。



青年期に入った1994年から人工内耳が保険適用になりました。
ただ当時は人工内耳は機械的に聴こえるという声が一般的だったため、ためらいがありました。



しかし、近年は人工内耳の性能が向上したのか、自然に聴こえる人が増えていることを知り、
2010年10月に大学病院で手術に踏み切ることになりました。



次は人工内耳の聴こえ方です。



この背景が何か分かりますか?

ぼやけていますね。
これは100dBの聴こえを視覚化したものです。

100dBの聴こえはこんな風に見えていると思ってください。

100dBになると補聴器では限界があり、言葉はぼやけて聴こえています。
これだけでは何の背景か分からないですよね?
言葉の聴き取りも同じことです。

この後、人工内耳を装用してどのように聴こえが変化していったのか
この背景を使用して説明していきます。



人工内耳装用直後の聴こえのイメージです。
人工内耳を装用して初めて聴いた音は、この絵のように迷彩色のような聴こえでした。
全ての音が「チュルチュルジー」と電子音に聞こえました。
でも聴こえ方がモノクロからカラーに変わり、再び高音が聴こえるようになったのは嬉しかったですね。



人工内耳を装用して6か月目の聴こえのイメージです。景色が見えてきました。
木が立っているのがなんとなく分かりますよね?
この頃になると言葉がくっきり聴こえるようになり、いろんな音の聴き分けができるようになります。



2年経った今ではほぼ自然な聴こえです。この景色のように音の輪郭がしっかりしてきました。
音入れ当初の奇妙な聴こえはもう感じられません。
今は人工内耳の音を「耳」ではなく、「脳」で聴いていると実感しています。



健聴者の聴こえです。
先ほどの景色と違いが分かりにくいかもしれませんが健聴者はより自然に聴こえていると思います。
ただ私の場合は人工内耳の聴こえでも十分であり、すでに補聴器の聴こえを超えています。
また人工内耳の技術も進歩しており、今後、より自然な聴こえになっていくのではないでしょうか?



次は人工内耳と電話です。



人工内耳を装用して電話が出来るようになりたいと思う人は多いのではないでしょうか?
私も電話が出来るようになりたいと思った1人です。
どのようにして電話が出来るようになったのか、今はどのように電話を活用しているのか紹介していきます。

・最初
音入れして間もないころに電話に挑戦しましたが、言葉がほとんど聞き取れませんでした。
やはり電話は難しいと思ました。

・6か月目
ところがオーディオ接続ケーブルを携帯電話に接続してみると言葉が聴き取れました。
電話が出来たことがとても嬉しかったですね。この日から電話の生活が始まりました。

・2年目
今では日常でも仕事でも支障のない範囲で電話を活用しています。
初対面の人だと聴き取りが落ちますが、何度か話しているとだんだん聴き取れるようになります。

私は聴力を喪失してから再び電話をすることはないだろうと思っていました。
しかし、今、こうして電話を手に会話をしています。
人工内耳は暗闇の世界に一片の光を灯してくれました。



先ほど触れたオーディオ接続ケーブルは、iPodやウォークマン、スマホなどと
人工内耳を接続するためのケーブルです。

・使用感
使ってみるとびっくり、雑音のない非常にクリアな聴こえが得られます。

・報告
最近、Nucleus5を装用したという方にケーブルを勧めたところ、
電話ができるようになったという嬉しい報告を頂きました。



次は人工内耳と音楽です。



人工内耳で音楽がどの程度聴けるのか関心がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ここでは私がどのようにして音楽が聴こえるようになったのか紹介していきたいと思います。

・最初
私が最初に新しい音楽を聴いたときは、オルゴールが壊れたように聴こえました。
時計のメロディなど身近なところから音楽が流れていることさえ気が付きませんでした。
これは多くの装用者が通る道かもしれません。

・6か月目
昔聴いた音楽は理解しやすいようで、この頃になると比較的楽しめるようになって来ました。
特に思い出のある曲「翼をください」が昔のまま聴こえたときは感動で涙が止まりませんでした。
最近は私と同じような経験をされる方が増えているそうです。
ただ、新しい音楽はなかなか覚えられませんでした。
歌声は歪み、メロディが雑音に聴こえます。やはり新しい音楽は難しいと思いました。

・2年目
新しい音楽もだんだん理解できるようになって来ました。
今では初めて聴く曲でも歌声やメロディがきれいに聴こえるようになってきています。
ただ、歌詞の聴き取りは1回では難しいようです。何度も聴いて理解する必要があります。

最近では今は亡き本田美奈子さんの曲や地元出身であるアンジェラ・アキさんの曲を楽しんでいます。
今流行のAKB48も?
人工内耳は私に再び音楽の感動を与えてくれました。

音楽は最高のエンターテイメントだと思います。
音楽の聴き取りは多くの困難が伴いますが、人工内耳でも音楽を楽しめる可能性があります。



音楽の聴き取りは個人差がありますが、工夫次第で今より聴き取りを良くすることは可能だと思います。
ここではどう音楽と付き合っていくかを説明します。


音楽の聴き取りは強く印象に残っている曲を聴くことから始めるのが一番早いかもしれません。子供の頃に覚えた曲は体で覚えているので理解しやすいようです。
私も子供のころに聴いた曲を繰り返し聴くことで聴ける曲が広がりました。


テレビなどのスピーカーは音が拡散するため音楽が聴き取りにくいかもしれません。
最初はヘッドホンかオーディオ接続ケーブルを通して聴くのがお勧めです。
オーディオ接続ケーブルにすることで音質が飛躍的に向上したという方もいます。


歌詞は1度では聴き取れません。
1回か2回で諦めず、何度もしつこく聴くと聴き取れるようになることがあります。



人工内耳は音の高さの知覚が難しいといわれています。
私も最初は「ド」と「ミ」にあたる2音の高さが分かりませんでしたが、
今では半音の区別ができるようになってきています。
これまでの音楽の聴き取りやコクレア社のリハビリソフトを活用した成果だと思います。


このように工夫やリハビリをすれば聴こえは成長します。



私は人工内耳で会話を取り戻せました。
今では電話や音楽も取り戻しつつあり、生活の質(QOL)が飛躍的に向上しました。
人工内耳は私に想像以上の聴こえをもたらしてくれました。
このような素晴らしい聴こえを与えてくれたことに感謝しています。
このように人工内耳の技術は飛躍的に進歩しています。

ご清聴ありがとうございました。

2013年3月3日 耳の日の講演会にて発表

2013年5月5日日曜日

人工内耳について

2010年10月に人工内耳を装用して2年目の滝です。

時が経つにつれ人工内耳の聴こえを冷静に見つめられるようになってきました。
以前ほど聴こえの目覚しい成長はありませんが、少しずつ確実に成長しているようです。


樹木(星野伸氏撮影)


少し前の話になりますが、2013年3月に2回目の人工内耳装用体験談発表をしてきました。
1回目は仕事をテーマにしたものですが、2回目は装用初期と6ヶ月目、2年目それぞれ3つの聴こえの比較をパワーポイントを使って説明し、ここまで聴こえるようになったことを説明しました。
もう1人発表された方がおり、こちらはエスプリから最新のNucleus5(N5)に切り替えた際の聴こえの変化を分かりやすく説明されていました。
この方とは事前に話す内容の情報を交換していたので、内容がかぶらずホッとしています。

聴こえの成長を体験談で発表しましたが、最近装用された方の聴き取りをみると私よりいいのではないかと思えることがしばしばあります。
人工内耳の進化ってすごいなと思います。
再生医療が現実的でない今、人工内耳を正しく知ってもらった上で、普及してほしいと願っています。
人工内耳は現時点でコミュニケーションを取り戻す最短の道のりだと思いますので。

ここでは人工内耳を中心につぶやいていきたいと思いますので、よろしくお願いします。